「良いお葬式だった」

そう思える葬儀と、

「もっとこうしておけばよかった」

と後悔が残る葬儀。

その違いはどこにあるのでしょうか?

今回は、2026年4月に出版された『大切な人のために~後悔しないお葬式』に掲載されていた葬儀経験者の声や、インターネット上の口コミなどを参考に、

「良い葬儀」「残念な葬儀」の違い

について考えてみたいと思います。

豪華な葬儀だから良い、安い葬儀だから悪い、という単純な話ではありません。

実際の声を見ていくと、別のところに満足・後悔を分けるポイントがありました。


結論を先にまとめます

良い葬儀だったという声で多かったのは、

  • 説明が丁寧だった
  • 料金が分かりやすかった
  • 遺族の話をしっかり聞いてくれた
  • 故人らしさを大切にしてくれた
  • ゆっくりお別れすることができた

というものです。変わったことではありませんね。

反対に後悔につながりやすいのは、

  • 思っていた以上に費用がかかった
  • 追加料金の説明がなかった
  • 当日の流れが分からなかった
  • 祭壇などがイメージと違った
  • 故人とゆっくりお別れできなかった

というものでした。

「良い葬儀=豪華な葬儀」ではありません。

「安心・説明・寄り添い・故人らしさ・お別れの時間」

こうしたものが満足につながっているように思います。


良い葬儀だったという声

①複数の葬儀社を比較して決めた

最初に紹介するのは、口コミを参考に複数の葬儀社へ電話で相談した方です。

その中から、

丁寧に要望を聞いてくれた
不要なオプションを勧めなかった
見積もりが分かりやすかった

という葬儀社に決めたことで、満足できる葬儀になったそうです。

葬儀は大きなお金が動きます。

葬儀社へ支払う費用だけでなく、料理、返礼品、火葬関係の費用、そしてお寺へのお布施などもあります。

できれば複数の葬儀社を比較したほうが安心です。

とはいっても、

「亡くなってから、そんなことをしている時間はない」

という方も多いでしょう。

ですから元気なうちに、自分の地域にどんな葬儀社があるのか、ホームページを見るだけでもいいと思います。

料金の概算や、基本料金に含まれるものが書かれていることもあります。

すでに葬儀社の会員になっている場合は、

「どこの会員になっているのか」

だけでも家族で共有しておきましょう。


②故人らしさを大切にしてくれた

次は、事前の聞き取りが丁寧だったという事例です。

故人の写真、音楽、趣味、愛用品などを聞き取り、葬儀に取り入れてくれたことで、

「故人らしいお葬式になった」

と感じたそうです。

「故人の好きだったものを棺に入れる提案をしてくれた」

「父が好きだったゴルフを取り入れてくれた」

という声もあります。

中には、スタッフが棺に入れられるゴルフクラブとボールを手作りしてくれて感動したという事例もありました。

どこまで故人らしさを取り入れられるかは、葬儀の形式によって違います。

無宗教葬であれば、音楽や映像などを式の中に取り入れることもできるでしょう。

仏式であれば、ロビーに写真や思い出の品を飾る方法などもあります。

浄土真宗のお葬式では

浄土真宗のお葬式では、単に「故人らしい式を作る」ということだけを目的にはしていません。

亡き人をご縁として仏法に遇い、

「自分はどのように生きているのか」

と、参列した一人ひとりが「死」を通して自分の「生」を考えていく。

そこに大切な意味があります。

ただ、

「故人らしさを感じられた」

「ちゃんとお別れできた」

「参列した方から知らなかった故人の話を聞けた」

ということも、遺族にとって大切な時間です。

そのためにも、事前に遺族の話を丁寧に聞いてくれる葬儀社であることは大切だと思います。


③追加費用を事前に説明してくれた

葬儀でよく問題になるのが追加費用です。

ただし、

追加費用が発生すること自体が悪いわけではありません。

問題なのは、

「そんなお金がかかるなんて聞いていなかった」

となることです。

たとえば、

  • 祭壇
  • 返礼品
  • 料理
  • 安置料
  • ドライアイス
  • 式場使用料
  • 搬送費
  • 火葬関係の費用

など、状況によって金額が変わるものがあります。

大切なのは、

何が基本料金に入っているのか?
どんな場合に追加料金が発生するのか?

を事前に確認することです。

良い口コミの中には、

「質問したことだけではなく、こちらが分かっていないことまで察して説明してくれた」

というものもありました。

葬儀に慣れている人はほとんどいません。

「何が分からないのかも分からない」

という遺族に説明してくれることが、安心につながるのでしょう。


④落ち着いて最後の時間を過ごせた

司会やスタッフの進行が落ち着いていて、

遺族が心静かに故人との最後の時間に向き合えた

という声もありました。

葬儀では、

「次は何をするの?」

「どこに立つの?」

「焼香はいつ?」

と、遺族には分からないことがたくさんあります。

スタッフが自然に案内してくれることで、遺族は余計なことを心配せず、故人とのお別れに集中できます。

これも良い葬儀につながる大切な要素だと思います。


残念だった葬儀の声

①あとから追加料金が発生した

反対に多かったのが、

「説明が十分でなく、あとから追加料金が発生した」

というものです。

祭壇、返礼品、料理など、葬儀では追加料金が発生することがあります。

もちろん、必要な追加料金もあります。

ですから、追加料金があるからといって、不当な請求だと決めつけることはできません。

問題は、

「最初に聞いていた金額と全然違う」

となってしまうことです。

大切な人が亡くなった直後に、冷静に料金を比較するのは難しいものです。

だからこそ元気なうちに、

「うちはどこかの葬儀社の会員になっている?」

そんな話だけでも、家族でしておくといいと思います。


②家族葬なのに当日の流れが分からなかった

「家族葬だから簡単です」

と言われ、詳しい説明がないまま当日を迎えて不安だったという声もあります。

家族葬だからといって、分からないことが少ないわけではありません。

例えば、

  • 納棺はいつするの?
  • 家族は納棺に立ち会える?
  • 受付は必要?
  • 会葬礼状はどうする?
  • 何時に式場へ行けばいい?
  • 焼香の順番は?
  • 喪主の挨拶は?
  • 最後に顔を見ることはできる?

など、細かい疑問はたくさん出てきます。

昔は葬儀に詳しい親戚や近所の方がいたかもしれません。

しかし、近親者だけの家族葬になると、そうした方がいない場合もあります。

「家族葬だから簡単」=「説明も簡単でいい」

ではないということですね。


③祭壇が写真と違って見えた

祭壇について、

「打ち合わせで見た写真と、当日の実物の印象がかなり違った」

という口コミもあります。

写真では豪華に見えたけれど、実際の式場では小さく感じた。

思っていた花の雰囲気と違った。

こうした「イメージと実物の差」が大きいと、不満につながります。

式場の広さによっても見え方は変わりますし、花を増やせば当然費用も上がります。

ですから、

「この式場で実際に飾ると、どのくらいのボリュームになりますか?」

と確認しておくといいでしょう。


一番多い後悔は「思ったよりお金がかかった」

葬儀経験者の後悔として多く見られるのが、

「思っていたより費用がかかった」

というものです。

安さを前面に出した葬儀プランの広告もよく見かけます。

しかし、その金額だけですべてができるとは限りません。

追加費用として出てきやすいものには、

  • ドライアイス
  • 安置室の延長
  • 式場使用時間の延長
  • 搬送距離の超過
  • 遺影写真の加工
  • メイク
  • 料理
  • 返礼品
  • 火葬関係の費用

などがあります。

もちろん、日程が延びればドライアイスや安置料が追加されるなど、必要な費用もあります。

ですから、

「追加料金がある=悪い葬儀社」ではありません。

重要なのは、

「最終的にどのくらいの金額になる可能性がありますか?」

と確認することです。

広告に大きく書かれている金額だけではなく、

その金額に何が含まれていて、何が含まれていないのか

を見ることが大切です。


「ゆっくりお別れできなかった」という後悔

費用とは別に、私がとても気になった口コミがあります。

それが、

「故人とゆっくりお別れできなかった」

というものです。

葬儀が始まると、火葬の時間が決まっています。

そのため、式は予定に沿ってどんどん進んでいきます。

棺を開けて故人とお別れできるのは、葬儀の最後に棺へお花を入れる時間や、火葬炉へ入る前の最後のお別れなどになります。

「葬儀の日にゆっくりお別れできるだろう」

と思っていると、

「思っていたより、あっという間だった」

と感じることもあるでしょう。

反対に良い口コミには、

火葬場でのお別れだけでは時間が限られるので、別に故人と過ごす時間を設けてくれた

というものもあります。

葬儀までに日数があれば、安置されている間に家族でゆっくり過ごせる場合もあります。

もちろん、安置期間が延びれば安置料やドライアイスなどの費用が必要になる場合があります。

ですから、葬儀社との打ち合わせのときに、

「故人とゆっくりお別れできる時間はありますか?」

と確認してみてください。

これは、料金と同じくらい大切な確認事項だと思います。


良い葬儀は「豪華さ」だけでは決まらない

ここまでいろいろな声を見てきました。

良い葬儀だったという人たちが、必ずしも、

「豪華な祭壇だった」

「たくさんお金をかけた」

と言っているわけではありません。

反対に、

「とにかく安かったから良かった」

ということでもありません。

満足につながっていたのは、

安心
説明
寄り添い
故人らしさ
お別れの時間

こうした部分でした。


そもそも、なぜお葬式をするのでしょうか

最後に、もう一度考えてみたいと思います。

なぜ、私たちはお葬式をするのでしょうか。

縁のある方が手を合わせに来てくださる。

遺族が最後のお別れをする。

「今までありがとう」と感謝を伝える。

そして、亡き人の人生を振り返りながら、

その人から自分は何をいただいてきたのか。

その人は自分に何を残してくれたのか。

それを感じる時間でもあります。

浄土真宗のお葬式では、亡き人をご縁として仏さまの教えに遇い、

「私は今、どのように生きているのだろう」

と自分自身を見つめる場でもあります。

その大切な時間を支えてくださるのが、葬儀社の方々です。

依頼する側もできる範囲で下調べをして、分からないことは質問する。

葬儀社の方にも丁寧に説明していただく。

お互いに敬意を持ちながら、大切な方との最後のお別れの時間を過ごしていただければと思います。


まとめ

後悔しないお葬式のために、特に確認しておきたいのは次の5つです。

  • 基本料金に何が含まれているか
  • 追加料金が発生する可能性
  • 当日の葬儀の流れ
  • 祭壇などの実際のイメージ
  • 故人とゆっくりお別れできる時間があるか

葬儀について元気なうちから細かく決める必要はないと思います。

まずは、

「うちはどこの葬儀社にお願いするんだろう?」

そんな話から家族で始めてみてはいかがでしょうか。

大切な方との最後のお別れが、

「もっとこうしておけばよかった」

ではなく、

「ちゃんとお別れできた」
「ありがとうを伝えられた」

と思える時間になってほしいと思います。

ABOUT ME
まんじ
石川県の終活アドバイザー。葬送儀礼について発信しています。