散骨というワードを聞くことはもう珍しくなくなりました。
以前は調べてみても、散骨できる場所は数が少ないという印象をもっていましたが、今は私の住む石川県でも海洋散骨が出来るようになりました。
散骨が周知されてきて、散骨に参入する会社が増えてきており、ネットで検索してもたくさんの散骨をおこなっている会社があります。
今回は全国の散骨の件数と費用、そして最後に石川県で散骨をおこなっている会社についてまとめてみました。
散骨の件数は
全国の優良石材店グループ300社からなる「一般社団法人 全国優良石材店の会」がおこなった2020年の散骨に関する調査では、国内の海洋散骨は2万5千人との数字が出ていました。(一都三県のデータを全国に引用したもので数字は過大である可能性もあります)
2020年に亡くなった方は137万人ということなので、2万5千人という数字が多いのか少ないのかはそれぞれの判断ですが、間違いなく散骨の認知度は飛躍的に高まってきています。
しかし同じ調査でのアンケートで、
あなたは散骨に立ち会ったこと(予定も含めて)がありますか。 | |
ある | 2.1% |
ない | 97.9% |
あなたは、散骨業者等に依頼するなどして、ご自身が立ち会うことなく、ご遺骨の散骨(予定も含めて)をしたことがありますか。 |
|
ある | 3.8% |
ない | 96.2% |
と実際に散骨をおこなった方はまだまだ少ない。皆、耳にしたことはあるが、おこなったり、立ち会ったりした人はまだまだ少ないようです。
また次は散骨会社へのアンケートです。
海洋散骨の総合情報サイト「やさしい海洋散骨」が、全国散骨会社を対象に行った現状調査の結果を発表しています。(※やさしい海洋散骨提携業者9社へのアンケート)
月間相談件数 | |
50件以上 | 37.5% |
49件以下 | 62.5% |
散骨の相談が5年前よりも増加傾向にある | |
ある | 88.9% |
ない | 11.1% |
【「やさしい海洋散骨」調べ】
(注:厚生労働省のガイドラインを遵守し、保険加入済み、散骨資格および旅客不定航路免許を保有する散骨会社限定で調査を実施)
認知度は高いけれど、実際におこなうにはまだ壁があるということでしょう。親族の目や遺骨への想いなどもあるでしょう。まだまだ情緒的な抵抗が多いと私は思っています。
しかしこれからの多死社会、墓じまいが増えていくことを考えると、その遺骨の行方が海へ流れていく可能性は大いにあります。費用も安いため可能性は高いでしょう。
そして散骨場所は故人の出身地または思い出の地が57.1%で最も多いです。費用が安いからと言ってどこでも良いということはないでしょう。
しっかりと認可を取り、散骨できる場所が増えていけば散骨の件数が増えていく大きな要因になるでしょう。
散骨の費用
散骨を取り扱っているいくつかの会社から、散骨費用を紹介します。
多くの会社は、
・代行海洋散骨(会社が依頼主の代わりに散骨をおこなう)
・貸切乗船海洋散骨(依頼主一組で散骨に出航する)
・合同乗船散骨(他の依頼主と合同で散骨に出航する)
この三つのプランがあります。
遺骨供養「ウーナ」
「ウーナ」は永代供養や仏壇販売など、供養に関する幅広いサービスを取り扱っています。
骨壷直径外寸(1寸=約3cm) | 価格(税込) |
10cm(3寸)以下 | 39,600円 |
12~15cm(4~5寸) | 44,000円 |
18~22cm(6~7寸) | 48,400円 |
24cm(8寸)以上 | 52,800円 |
※散骨ポイントによっての値段は変わりません。 |
※「遺骨供養ウーナ」HPより
遺骨の引き渡し後、ウーナの提携する散骨代行会社が6か月以内に散骨をおこないます。東京湾や大阪湾をはじめ、23か所の湾で散骨することが出来ます。
散骨終了後に散骨証明書、散骨時の写真、写真データ入りCDが郵送されてきます。これらの料金は上記に含まれています。
次に貸切乗船海洋散骨です。
自分自身の手で散骨したいという方も多くおられると思います。日にちも指定できますし、貸切ですから周りに気を遣うことなく散骨が出来ます。
費用 | 242,000円 |
証明書や写真などは代行散骨と同様に送られてきます。
最後に、合同乗船海洋散骨のプランです。
他のお客さんと合同で散骨に出航するプランです。日にちを指定できるプランもありますが、ここでは日にちを指定できないプランを紹介します。指定できるプランよりも55,000円程安くなります。
費用 | 132,000円 |
※ウーナの散骨場所(ウーナHPより)
ただし、ウーナでは石川県沖には対応していません。
イオンのお葬式
次に大手、イオンのお葬式の海洋散骨サービスです。
ウーナもそうでしたが、多くの会社は、自分の会社で散骨をおこなうわけではなく、提携している散骨業者に依頼するという形ですね。
代理プラン | 55,000円 |
合同プラン | 159,500円 |
貸切プラン | 269,500円 |
イオンのお葬式HPより(※税込)
代行散骨です。
7名分が集まるか、3か月以内に出航します。
特に骨壺の大きさで料金の変動はないようですね。
1組2名まで、合同で船に乗り散骨に行きます。散骨をする瞬間に立ち会いたい方は合同プランからになります。
8名までになりますが、船を貸し切って親しい方だけでお別れが出来ます。
イオンも石川県沖には対応していません。
ネットで検索した限りで一番安いのは「海洋散骨カイリ」という会社でした。「散骨代行26,800円」と一番安く請け負っていました。
小さな会社にしか出来ない暖かいサービスを心がけています
「海洋散骨カイリ」HP
興味のある方は、見てみて下さい。
石川県金沢市からも散骨に出航出来る
いずれ、石川県金沢市から散骨へ出航出来るようになるんだろうと思っていましたが、気がついたらすでに出来るようになっていました。
株式会社ジール
ここは全国で取り扱いがあり、金沢からも出航が可能です。
出航場所 | 石川県金沢市(乗船場所は申込後に決定) |
散骨海域 | 石川沖海域(出航より30分~1時間) |
実施日 | 予約制 |
乗船人数 | 船舶によるので問い合わせ下さい |
乗船時間 | 1時間~1時間半 |
料金 | 27万5千円 |
出航時間 | 日の出から日没まで |
「株式会社ジール」HPより
※ 上記料金に含まれているサービス内容は、船舶チャーター費(燃料代含む)、船長、クルー、セレモニー費用、出航前各種資料の送付、お打合せ、粉骨手配、散骨証明書、散骨海域海図、証明書専用ケースとなります。
船の貸切プランなので、イオンに比べてもそれほど高いということはありません。
ジールはオンライン散骨やクルーザーで行く豪華な散骨など様々なプランがありますが、これらは金沢からの出向はありません。
「散骨富士 千の風」
2社目は、「散骨富士 千の風」
富山県、石川県で散骨をおこなう会社です。
富山県で元々おこなっていたようですが、2020年の7月より石川県でもおこなえるようになったとホームページで紹介されていました。
石川県で散骨したいとの要望が多かったようですね。
以下、「千の風」のHPより費用を紹介します。
代行散骨 | |
費用 | 78,000円(税別) |
・散骨風景写真、散骨証明書込みの金額になります。
・御遺骨が複数ある場合は、粉骨料金が3万円と壺が必要になります。
チャーター散骨(遺族乗船) | |
費用 | 198,000円(税別) |
他の条件は、代行散骨と同じです。
散骨したポイントへお参りすることが出来るメモリアルクルーズというサービスがあります。
メモリアルクルーズ | |
費用 | 100,000円 |
まとめ
皆さんの周りには、散骨を考えておられる方はおられるでしょうか?
「自分が死んだら散骨で良いと思っている」という方には出会いますが、私の周りにはまだ実際に散骨をおこなった方はほとんどおられません。
無縁墓の話題はたびたび取り上げられますが、石川県はまだお墓をお持ちの方が多いからでしょう。
散骨をはじめとした様々な供養の形に迷いはしながらも、墓じまいをして散骨をおこなう、その最後の精神的な一歩が重たいのだと感じています。
地方へいくほど、親族や近隣の方との繋がりがあるので、その精神的な壁は大きいでしょう。
これまでの供養の形とこれからの供養の形、どちらが良くてどちらが悪いという話ではありません。その供養に気持ちがあれば、形が変わっていくのは当たり前のことです。
その変化は急にやってくるでしょう。散骨の数が今年は去年の5倍になりましたという年が来る可能性もあります。
人間関係が複雑になってきている昨今ですから、散骨に至るまでは色んなケースがあると思います。全く関係のない人はいないという意識で、興味をもって下さった方々はご自分の地域の情報を調べてみて下さい。