親族の法事へはどんな服装で参加すればいいの?

お葬式へは喪服を着て参列します。

では法事へはどのような服装で参列するのが良いのでしょうか?

「喪服でしょ?」と思われる方がほとんどでしょう。その通りですが、その喪服の格式を迷われる方が意外と多いのです。

最近はコロナ禍で法事の規模が小さくなり、家族だけで法事を勤めることが増えました。一昔前ほど法事に参列する機会は少なくなったかもしれません。家族だけであれば服装の自由度は高くなるでしょう。

その場合は、故人やその法事の場に礼節を欠かないようにご家族で話し合われた服装で良いかと思います。

しかしまたコロナが落ち着いたら、法事を勤めることもあります。その時には、親族が集まることもあるでしょう。

その時に服装について困ることがないよう、しっかり知識を入れておきましょう。

出席する立場によってマナーは変わりますが、今回は親族の法事に参列するときの服装のマナーを見てみます。

喪服には格式がある

通夜や葬儀には喪服を着て参列することは誰でも承知のことだと思います。

法事に着ていく服を迷われるのは、その喪服をどの程度格を落として良いのかを迷われるからでしょう。

喪服には格式があります。故人が亡くなってから時間が経過するほど格式は落として良いとされます。まずはその格式を確認しましょう。

正喪服

この正喪服は喪主側が着用するものです。喪服のマナーについて書かれているものの多くには、喪主・三親等までの遺族が三回忌まで着用するものとされています。

ただし、男性で正喪服を着ている方を見かける機会はあまりありません。持っている方も少ないでしょう。喪主側よりも格式の高い喪服を着るわけにはいきませんので、親族の法事に正喪服を着て行くことはないでしょう。

女性が葬儀で着物を着ておられる姿は見かけることがあります。
正喪服 男性 和装(紋付羽織袴)
モーニングコート(昼間の正装のためお通夜はブラックスーツ)
女性 和装
ブラックフォーマル(黒の礼服)

紋付・・・背中・両袖・両胸の五か所に家紋が入っているということ。

モーニングスーツは前にボタンが一つ、後ろがスラーっと伸びたものです。載せられる良い画像がまだ手に入ってないので、イメージがつかめない方は検索してみてください。

準喪服

正喪服に準ずる格式のものが準喪服です。

男性女性黒の礼服になります。一般的に喪服というと、この準喪服を想像されるのではないでしょうか。

黒の礼服はブラックスーツと言われます。私は黒色のビジネススーツとの違いが若い頃は分かりませんでした。しかし、喪服の生地は特殊な染め方で、光沢が出ないように深く濃い黒色に仕上がっているそうで、並べて見ると違いが分かるようです。

急に入用になるものですので持っていなければ仕方がありませんが、出来ればビジネススーツではなく、ブラックスーツを用意しておきましょう。

喪服、礼服、スーツなど呼び方が様々なので分からなくなりますね。

喪服は肌の露出の多いものはマナー違反とされます。女性の礼服ではワンピースジャケットスカートなどを合わせることになりますが、スカートの丈袖の丈に注意しましょう。

スカートは膝下(ひざした)くらい、袖丈は肘が隠れるくらいが良いですね。

今は喪主であっても参列する側であっても、この準喪服のブラックスーツであることがほとんどではないでしょうか。喪主の場合でも、たとえ奥さんが正喪服である和装であってもブラックスーツであればマナー違反にはなりません。

略喪服

喪服の格式の中では軽い「略喪服」。

男性 ダークスーツ(黒・紺・グレーなどのスーツ)
女性 ワンピーススーツアンサンブル(黒か黒に近い色のもの)

準喪服であるブラックフォーマル(濃い黒色の礼服)以外の地味目な色のスーツやワンピースなどのことです。以前はお通夜には、「急いで駆け付けた」という意味でこの略喪服を着用するのがマナーだったようです。今はお通夜でも皆さんブラックスーツを着ておられる印象がありますね。

アンサンブルとは上下の調和のとれた組み合わせのものという意味です。

平服でお越しくださいと案内があったら?

法事の案内に「平服でお越しください」と書いてある場合があります。

法事の場における「平服」とは、いつも家で着ている格好というわけではありません。「略喪服」のことを言います。

法事の場にあった格好で、でも「準喪服」よりも軽くて良いですよというわけです。悲しみ和らいできて、「皆で集まって故人の話でもしましょう」という気持ちに変わってきたという表現だと私は理解しています。

私は「平服でお越しください」という案内をもらったことはありません。法事には黒の喪服(ブラックスーツ)で行っていました。準喪服ですね。

法事を主催する側が、どのような格式で勤めたいと思っているのか。

一般的には

四十九日法要~三回忌法要までは故人が亡くなってから月日もそれほど流れたと言えません。在りし日のことを思い出したり、まだ心に悲しい気持ちを抱えた方がおられることも多いでしょう。そのような場では失礼のない格式の喪服で参列したほうが良いでしょう。

葬儀会社や喪服の販売をしている会社のホームページなどを見ても、三回忌までは出席者についても準喪服がマナーと書かれています。

今では少なくなりましたが、三回忌までは友人や知人が出席することもあるでしょう。友人や知人がカジュアルな服装で法事に来るということは考えにくいので、親族も「準喪服」で参列したほうが無難です。

そして7回忌以降は「平服」で参列します。人それぞれ悲しみが癒える期間は違いますが、一般的には悲しみが和らいでいる時期とされ、呼ぶ人も限られてくるからです。

略礼服より軽い服装で参列しても良いのか

人が集まる場であり、故人への礼節を欠かさないことを考えると、法事は軽い服装といえども略礼服を着用することになっています。

しかし今、高齢化やコロナ禍などの影響で、亡くなってから一番近い法事である四十九日といえども、家族だけ、近い親族だけで執り行うことも増えています。法事の規模自体が小さくなっています。

石川県には月参りという習慣があり、お坊さんに来てもらって月に一回仏壇にお参りをする家が多くあります。そのときには普段着です。仕事終わりの時間にお参りすることも多く、作業着など仕事着の方もたくさんおられます。

月参りと法事ではもちろん格式は違うのですが、法事の規模が小さくなり、その差が縮まってきていることを感じています。

その中で最低でも略喪服じゃないと失礼だという感覚も薄れ、故人に失礼がないと皆が思えるのであれば、略礼服にこだわる必要もないのではないかと思う方も増えてきているのではないでしょうか。

法事というものが仰々しく勤めなくてはいけないものではなくなってきた。軽めに勤めたいという方が増えてきたのです。

それがけしからん!ということではなく、人の移動や人間関係の変化からすれば、そういう時代になってきたということでしょう。

一般的な形を知っての上でご家族で話し合い、決まったことであるならば、喪服にこだわらず、地味な服装でも構わないと思います。その場に招かれるような近い親族であれば連絡を取り合うことが出来ると思いますので、「平服で」と連絡があっても、もう少し深く聞いてみてはいかがでしょうか。

お坊さんを呼んで法事をして、料理屋さんを予約してあるという場合は基本的には略喪服を着用すべきでしょう。法事の格、参列する方の数、喪主の気持ちなどを考慮して決めましょう。

 

 

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まんじ
石川県の終活アドバイザー。葬送儀礼について発信しています。